若旦那の恋は千鳥足





「疲れなかった?」

「いえ、全然。」

「とりあえず、何か食べようか。」

「はい。」


着いたのがお昼近かったので、私達は京都駅近くのレストランに向かった。
私にとっては憧れの京都だけど、柚希さんにとっては出身地だから、特にわくわくはないのかな?
レストランにも目的を持って歩いてるみたいだし、このあたりのことはよく知ってるのかも。



「ここで良いかな?」

「はい。」

そこは駅からほど近い所にある、こじんまりしたレストランだった。
これは、きっと美味しい店だなって、店の雰囲気で感じた。
扉が軽やかなベルと共に開いた。



「いらっしゃいませ。あら…」

柚希さんが、年配の店員さんに小さく頭を下げた。
私達は窓際のテーブルに腰を降ろした。



「お久しぶりですね。」

店員さんがお冷を静かに置く。



「はい、今、東京に住んでるんです。」

「まぁ、東京に!?そら大変ですね。
……ご注文は?」

「ランチを二つお願いします。」

「ドリンクはどないしはります?」

「アイスティーをお願いします。」

「お連れさんもアイスティーでよろしいか?」

「は、はい。」

「かしこまりました。」

テーブルを去り際に、店員さんが私に微笑みかけたから、私も同じように微笑んだ。