若旦那の恋は千鳥足

確かにね。
お父さんの言うこともわかるような気はする。
そんなご立派なお家柄だったら、奥さんもきっとご立派なお家柄の人なんだろうね。
うちみたいな庶民の娘なんてきっとない。
うちは極めてフランクな家庭だったし、礼儀とか作法なんてほとんど知らない。
そんな私だから、きっと、馬鹿にされたり、もしかしたらいじめにあったりする!?



「もう~っ!お父さんったら、考えすぎですよ。
長男とはいえ、柚希さんは家業は継がないってことで話はついてるんでしょうし、大丈夫ですよ。」

お母さんはえらく楽観的だ。
私はお父さんと一緒で、やっぱり、どこか不安だよ。



「しかしなぁ…俺はやっぱり心配だな。」

「じゃあ、今からマナー教室にでも通えば良いじゃないですか。
法事なんて、そうしょっちゅうあるわけでもないし、その時だけちゃんとしとけば良いんですし。」

「馬鹿をいえ。そんな単純なことじゃない。
うちは、庶民なんだぞ。
俺もそんなに大したことの無い会社の課長だ。
先祖に偉い人もいない。
昔風にいえば、身分違いだ。」

「あら、昔風に言うなら、玉の輿じゃないかしら?
現代のシンデレラストーリーよ。
こんなチャンスを見逃す手はないわ。」