若旦那の恋は千鳥足





「おはよう。」

「おはようございます。」



次の日、約束の時間ちょうどに柚希さんはやってきた。
あれ~?
普段着で良いって言ってたのに、スーツなんですけど…
私、実家に行くだけだからと思って、本当に普段着着て来たんですけど。



「さ、乗って。」

「は、はい。」



ま、良いよね。
実家だもん。
会うのは両親なんだもん。
でも、今日の柚希さん、本当にカッコイイ。
お母さんは面食いだから、きっと気に入るだろうなぁ。



車の中はとても良い香りがした。
後ろの席のゴージャスな花束から発せられてるようだ。



「近いんだね。」

「は、はい。」

一応、自立しないとまずいかなって思って家を出たけど、あんまり遠くに行くと、いざという時不安だからね。
最近は特に何も無いから、しばらく実家には帰ってない。
まさか、こんなことで帰ることになるなんて、思ってもみなかったよ。



「あ、そこの角を曲がったところです。」

たいして会話もしないままに、車は、自宅に着いた。
近いからあっという間だ。



柚希さんは、花束とお菓子らしき包みを抱えて、車を降りた。