若旦那の恋は千鳥足

「……どないかした?」

たまらなく悔しくて、私の体は小刻みに震えていた。
柚希さんは心配そうに私の顔をのぞき込む。



なんて言えば良いの?
言いたいことはたくさんあるはずなのに、頭が全然まとまらない。
私の心は酷く混乱していた。



「顔色が悪いけど、大丈夫?
しんどいんと違う?」

「ゆ、柚希さん…わ、私、やっぱり苦しいです。」

「え!?どうしたん?
どこが苦しいの?病院行く?」

「そ、そうじゃなくて…心が苦しいんです。」

「心が…!?」



私の中で、何かが弾けた。
もう止められない。
胸が一杯になって、涙が溢れて来た。



「わ、私…柚希さんのことが好きなんです。
たまらなく好きなんです。」

「ありがとう。
僕も君の事が好きやで。」

「やめて!」

私に伸ばされた柚希さんの腕を、私は突き放した。



「ひとみ……どうしたん?」

「わかってます。
柚希さんは私に感謝してるんですよね。
私のこと、人として好きなんですよね?
それはそれで嬉しいけど…私は女性として愛されたいんです。
わ、わかってます。
そんなこと無理ですよね。
私が欲張りなだけですよね。
わかってるのに…わかってるのに…」

高ぶる感情が押えきれず、私は止めどなく涙を流し続けた。