若旦那の恋は千鳥足

「どうしたん?固まって…」

「え…べ、別に…」

「君に似たら、みんなから愛されるええ子になるやろなぁ。」

まただ。
柚希さん、お世辞のつもりなのかな?
でも、なんだかあまり気分は良くない。
だって、私は取り立てて言うところのない、ごく平凡な人間なんだもん。
もちろん、誰からも愛された記憶はない。



「私に似たら、ただの平凡な子になるから嫌ですよ。」

「え…?
そんなことないよ。
君はほんまにええ人やんか。」

良い人?
私のどこが?



「私の取り柄っていったら、料理好きなことくらいじゃないですか?
でも、それだって、本格的なものじゃない。
家庭料理ですし。」

「あれ~?
君って意外とネガティブなこと言うんやね。」

「本当のことです。」

やばいな。
ちょっと気まずい雰囲気になったかも。



「私、特に長所もありませんし。」

なんとなくイライラして、私はさらに突っかかるようなことを言ってしまった。



「どうしたん?
僕、なんか悪いことでも言うたかな?」

柚希さんは、無神経なところがある。
私の気持ちなんかまるでわかってないんだから。