若旦那の恋は千鳥足

「そ、そうなんですか。」

あそこなら、柚希さんの実家まで車で10分もかからないくらいじゃないかな。
なんなら、バスでも行けるし、自転車でも行けそうだ。
それに、スーパーも近いし、近所に眼科は確かなかったはずだから、流行るかもしれないよ。
家も明るいし、まだけっこう新しいんだよね。
なんでも、前のオーナーさんは海外に行くことになったとか聞いたけど。



「もう一回見せてもらおうよ。
どこの不動産屋さん?」

「あ、あっちです。」

実を言うと、私もあそこが一番良いかなって思ってたんだよね。
だけど、その分ちょっと高い。
まぁ、30年ローンを組めば払えないような額ではないとは思うのだけど。



柚希さんは戸惑うことなく、ずんずん歩いて行く。
そうだよね。
柚希さんはいつもそう。
一度決めたら、迷うことなんてないもんね。



昨日の物件をもう一度見せてもらって…



「では、ここにサインをお願いします。」

「はい。」



わぁ、なんだかドキドキしてしまう。
私…これから京都で暮らすんだ。
憧れだった京都で…