若旦那の恋は千鳥足





「家族が増えて、なんや嬉しいわぁ。」



その晩はすき焼きだった。
歓迎ムード全開で、ありがたい。
でも、関西風のすき焼きは初めてだったから、ちょっと驚いた。
薄味文化のはずなのに、すき焼きはけっこう濃い味だ。
意外だったけど、美味しかった。
良いお肉だからってこともあるのかな?



とにかく、柚希さんの御家族は、本当にフレンドリーで、私のことを大切にしてくれる。
そのことはとても嬉しいのだけど、京都の人は直接的なことを言ったりしないし、腹と口が違うって、県民の番組で言ってたから、注意は必要かもしれない。



「ひとみさん、お肉炊けてるで。」

「は、はい。いただいてます。」

勧められても調子に乗って、素直に食べちゃいけないんだよね。
遠慮しなきゃね。
私は、野菜を中心に食べるようにした。



「柚希、新婚旅行の行き先はもう決まったんか?」

「いえ、それがまだ。
いつ頃休みが取れるのか、何日休めるのかもまだはっきりしないもので。」

「そうか…出来るだけ、ひとみさんの意に沿うようにしたげや。」

「はい。」

新婚旅行のことまで、気にしてくれてるんだね。
私は国内で十分なんだけど、せっかくだからやっぱり海外の方が良いんじゃないかって、皆は言う。
でも、私はあまり旅行にはお金かけたくないなぁ。