若旦那の恋は千鳥足

「じゃあ、改めて言うよ。
……僕は、君を愛してる。」

本来ならばとても嬉しい言葉なんだろうけど、偽りの言葉だとわかってるから、余計に悲しく聞こえた。



「僕は君のことが、とても好きだよ。」

どういう意味なんだろう?
同居人としては…人としては少しは好きってことなのかな?
だとしたら、救われるね。
ただ、利用されるだけじゃ、あまりに悲しいもの。



「どうして泣いてるの?」

「え…」

知らないうちに涙を流してた。
柚希さんは私に近付き、指で涙を拭った。



「本当に君が好きだ…」

そう言った柚希さんの唇が、私の唇を優しく愛撫する。



あぁ、そうか…
柚希さんは、今夜、一線を越えようとしてるんだ。
だから、好きだの、愛してるだの言って雰囲気を盛り上げようとしてるんだ。
結婚したら、愛はなくても、夫婦らしい暮らしをするつもりなんだね。
それともただの欲望?



ちょっと悲しいけど、それなら、それで良い。
もしかしたら、そうしてるうちに私に対する愛情が芽生えて来るかもしれないし。
子供でも出来たら、絆も強くなるかもしれない。



私は、柚希さんに身を任せた。