若旦那の恋は千鳥足





「あ、あの…柚希さん…」

「何?」

私は、夕食の時に柚希さんに話しかけた。



「あの…麗華さんの件ですが…もう心配はなくなりましたよね。
それだったら、もう家に帰った方が良いんじゃないかなぁ…なんて。」

なぜだか私は必死に愛想笑いを浮かべてそう言った。



「麗華のことは確かに心配ないけど…
僕達、もうじき結婚するんだし、別に帰らなくて良いんじゃない?
なんなら、ここに越してきたら?」

「えっ!ここに…いや、それは…」

「何か問題でもある?」



問題なんて多分ない。
服やら必要なものはたくさん買ってもらったし、家電はすでにあるし、私の家のものはほとんど処分だね。
特に大切なものもないし、すぐに片付くよね。
でも、そんなこと言ったら、本当にここに来ることになりそうだし…
じゃあ、なんて言えば良い?



「そうか…ここが嫌なんだね?」

「え?」

「……そうだね。無理もないね。
気遣いが足りなかった。
じゃあ、手放して新しく家を買おう。」



え?何?
何が無理もないの?
気遣いが足りないって、どういうこと?
っていうか、新しい家?
こんな立派な家があるのに、もったいない。