若旦那の恋は千鳥足

「も、もう良いです。
みんなもわかってくれましたから。」

「ほんまにすんませんでした。」

いやいや、朝宮さんが謝ることはないって。
やったのは麗華さんなんだし。
それにまぁ、麗華さんも一応謝ってくれたから、もうこれ以上どうこう言うつもりはないよ。



「私、まだ、諦めたわけじゃないからね。」

え?せっかく収まってきたのに、麗華さんまだそんなこと言う?



「で、でも、麗華さんには朝宮さんという婚約者が…」

「婚約者っていうのは、親が決めただけのことだから。」

「でも、朝宮さんは麗華さんのことをとても愛されてて…」

「馬鹿ね。
雅彦は、親から私の婚約者だって言われてるから、気にしてるだけよ。
それに、子供の頃からの付き合いだから。」

そう言った麗華さんの顔は、なぜだか寂しそうに見えた。



「朝宮さんは、君がひとみに何かしたらいけないって、ひとみのボディガードまでしてたんだよ。」

「だからね、それは私がトラブルを起こしたら困るから。
ただ、それだけのことよ。」

「……ちゃう。」

朝宮さんの低い声が響いた。