若旦那の恋は千鳥足





「朝宮さんって良い人だよね。」

家に帰ってから、柚希さんが唐突にそう言った。



「え?そ、そうですね。
感じの良い人だと思います。


「君のボディガードまでしてくれてたんだもんね。」

柚希さんは、朝宮さんのことが気に入ったみたいだ。



「麗華はなんで朝宮さんのことが好きじゃないんだろう?」

「それは多分、あまりに近いからじゃないですか?
近すぎて、家族みたいな感じになって、恋愛感情が持てないのかも。」

「……なるほどね。
これから先、恋愛感情を抱くようにはならないかな?」

「それは、余程のことがないと難しいんじゃないですか?」

「余程の…ことか……」

余程のことなんて、なかなか起きないよね。
たとえば、朝宮さんに彼女さんが出来る、とか…
いや、ないない。
朝宮さんは麗華さんにベタ惚れだもの。
そんなことはありえないよ。



(あ……)



「柚希さん!良いことを思いつきました!
誰かに頼んで、朝宮さんの彼女さん役になってもらって、麗華さんに仲の良いところを見せつけるんです。
そしたら、麗華さんも慌てるんじゃないですか?」