若旦那の恋は千鳥足

「あら、ひとみ。どうしたの?」

お母さんの馬鹿馬鹿!
なんですぐに出るのよ。
買い物にでも行っててよ!



「あ、あのね、お母さん。
じ、実は、今週の週末なんだけど…」

「週末がどうかしたの?
私もお父さんも暇だから家にいるわよ。」

携帯から声が漏れたのか、柚希さんが親指を立てた。



「ちょっと代わって。」

「あ!」

私が返事をする前に、柚希さんは私のスマホを取り上げて…



「ひとみさんのお母さんですか。
初めまして。
僕、勅使河原柚希と申します。」

わわっ、名乗っちゃったよ。
お母さん、びっくりしただろうな。



「はぁ。初めまして。
ひとみの母の春江です。」

「土曜日に結婚のことでご挨拶に行きたいと思ってるんですが、よろしいでしょうか?」

言った…言っちゃったよ。
どうすんのよ。
もう、知らないっ!



「えっ!け、結婚!?」

そりゃあ、びっくりするよね。
今まで結婚の話なんてしたことないし、そもそも、私、彼氏さえいなかったんだから、そんな話もするわけないし。
もう、本当に知らないんだからっ!