若旦那の恋は千鳥足

でも、事実だから仕方ないよね。
私は何一つ麗華さんに勝ってない。
見た目はもちろんのこと、私は小さな会社の一事務員、麗華さんは優秀な外科医。
実家だって完全に負けてるし。



「何か、ひとみさんが麗華より勝ってるものがあれば、もしかしたら、麗華も諦めるんじゃないでしょうか?」

柚希さんと由香が私をみつめる。
いや、そんなにみつめても、私が麗華さんに勝てるものなんてありませんから!




「あっ!」
「あぁ!」



二人が同時に声を上げた。



「料理!」
「料理!」



またも、二人の声が重なった。
二人は顔を見合わせて頷く。



「あんた、料理っていう得意技があったじゃない。」

「そうだね。麗華は家事は一切ダメだから。」

「えー…」



確かに料理は好き。
得意といえば、得意かもしれないけど、私の料理はお母さんに教わったもの。
料理学校に通ったわけでもないし、お店で修行をしたわけでもない、ただの家庭料理だ。
そんなので、勝ったなんて言えるかな?
麗華さんは、いっぱい勉強をしてお医者さんになって、忙しさも私なんかとは比べ物にならないだろうから、家事はやれないんだと思う。
やる暇がないんだから仕方がない。
だから、こんなことは勝ったとは言えないはずだよ。