若旦那の恋は千鳥足

「あ、あの…」

「は、はい。」

探偵は私を見て、酷く驚いた様子だった。



「こ、こちら、よろしいですか?」

私は椅子を指差した。



「は、はい、どうぞ。」

「失礼します。」

すごいぞ、私。
強気で先制パンチが打ち込めた。



「あ、あの…はっきり言わせていただきますが…
あなた、私をつけてますよね?」

「……はい。申し訳ありません。」

わぁ、素直に認めたよ。
思ったよりも良い人なのかな?
それに…この人、やっぱりイケメンだよ。
やだ、急にドキドキして来た。



「え、えっと…れ、麗華さんに頼まれて…」

「ち、違います!
僕は、勝手にあなたのボディガードをしていただけです。」

「ボ、ボディガード!?」

意外な言葉に、私は目を丸くした。



「あの、僕、朝宮雅彦と申します。
麗華とは幼稚園からの幼馴染で、一応、婚約者です。」

「えっ!婚約者!?」

私の目はますます大きくなった。
だって、この人が麗華さんの婚約者だなんて…



「驚かれるのも無理はありません。
婚約者というのも、親が決めただけのことですし、麗華はそんなこと、忘れているでしょうから。
僕は大阪在住で、麗華が東京に出て来てからは、なかなか会うこともありませんでしたし、なおさらですよね。
勅使河原さんのことは聞いてました。
もちろん、あなたのこともね。
最近、麗華が勅使河原さんの御実家に行ったことも聞きました。
だから、もしも、麗華があなたに何かしたら大変だと思い、あなたを見張るようになったんです。」