若旦那の恋は千鳥足

「由香…?どうかしたの?」

「べ、別に…
あ、次で降りるよ。」

「う、うん。」

地下鉄を降りた由香は足早に進んで、あるカフェに入った。



「お腹すいたね。何食べようか?」

「……殺し屋。」

「え?」

「何気なく後ろ見て。ゆっくりだよ。」

「え……」

言われた通りにしたら、私の心臓は凍り付いた。



少し離れた席に、あの殺し屋がいたんだから。



「……やっぱり間違いないよ。
あの人、会社の傍から私達をつけて来た。
この店は、私も初めて入ったし、あの人が偶然入ったとは思えない。」

「そ、そんな…」



先日は柚希さんが来たから諦めたけど、今日こそはやるつもりで来たってこと?



「由香、どうしよう?」

「ひとみ、落ち着いて。
とにかく、こんな所では手は出さないと思うよ。
柚希さんに言って、迎えに来てもらうのが一番良いんじゃないかな?」

「う、うん。」

LINEを打とうとして、私はそこで考えた。



そんなことをして、もし、柚希さんに危険なことが起きたらどうしよう?
麗華さんの手の者だろうから、柚希さんには手を出さないとは思うけど、たとえば、私を守ろうとして、柚希さんが怪我でもしたら…