小さな星の絆

スカウトしてくれた川島さんから台本をもらって、事務所を出た。

『咲ちゃん、よく聞いて』

と言ってしゃがんで咲実の肩を持った。

『今度から、お仕事があるの。TVに出るお仕事なんだけど…。だからね、今日からこの本の言葉を覚えてお仕事の日にお芝居をするの』

『おしばい?』

『そうだよ。お芝居。だから、今日は咲ちゃんが買いたいって言ってた服ちゃんと買ったらお家に帰って、この台詞覚えようね』

『わかった～』


ママと咲実は洋服をかった後、家に向かった。

家に着くと、咲実は

『アレ覚える～』

と言って台本を広げた。

最近覚えたひらがながたくさん並べられていた。

5歳ほどの子が芝居をするのは分かっていたので、ちゃんとひらがなに直した台本が用意されていたのだ。

大野香凛(ｵｵﾉｶﾘﾝ)と言う女の子を中心とした家族ドラマだった。
香凛が5才になった日、母親と父親は香凛を連れて遊園地に行った。
が、しかし父親と母親の姿が見えなくなった。
とそこに放送がかかって香凛が呼ばれる。
呼ばれたところに香凛がたどり着くと、父親と母親が眠っていた。
何者かに殺されてすでに死んでいたのだ。
ひとりぼっちになってしまった香凛は里親の新しい家に行くことになった。
そこで繰り広げられる血のつながりのない家族の物語を描く―――――
と言う内容のものだった。

まだ、咲実には難しいんじゃないかと思うようなものだったけどこのドラマに挑戦することになった。



そして、とうとう2週間後の撮影の日がやってきた。

ココから咲実の芸能生活が始まるのだ。