「常盤さんは、どうなの」
にやけそうになる顔を手で押さえていると、今度は私が秋津くんに質問された。
何と答えようか。
尋ねられたときには、2パターンの戦法が閃いた。
1つ目は、敢えて秋津くんを連想するような特徴を挙げて、もしかして自分のことが好きなのだろうか、と意識してもらう作戦。
そして2つ目は、秋津くんと真逆のタイプを挙げてみて、対抗心を煽る作戦だ。
普通に考えれば、前者の方が効果的なように思える。
だけど、臆病な私は後者の方法をとることにした。
もし秋津くんが私の好意に気づいてしまった場合、私は彼に避けられてしまうのではないかと恐れたからだ。
この関係が壊れてしまうのは、嫌だ。
「そうだね~。私も明るい人かな? 見た目もちょっと派手なくらいがいいかも。金髪も好きだし」
金髪は確かに好きだけれども、それよりもあなたのその綺麗な、そのままの黒髪が1番好きだよ、と思いながら言葉を吐いた。
「へぇ」
秋津くんは私の答えにあまり興味がなさそうだった。
尋ねたのは単なる話の流れだったみたい。
もう少し私に興味を抱いてくれたらいいのに。



