やっぱり、秋津くんが読んでいないものの話はわからないだろうし、つまらないか。

 実写化されて話題になっていたから、イメージしやすいかと思ったのだけれど。


 恋愛と言えば、を思案した結果、思い浮かんだのはそれだけだった。

 どうしよう。


 もう直球で訊いてしまおうか。


「秋津くんって、どんな人がタイプ?」

「どうしたの。藪から棒に」

「恋愛ものの話をしていたら、なんとなく気になって。秋津くんって他の女の子と話しているところをあまり見かけないから、想像しづらい」

「……常盤さんは、よくいろんな人に話しかけられているよね」


 静寂が私たちを包む。


 私、もしかして失礼なことを言ったっけ。

 いや、今考えてくれているのだろうか。


「そうだなあ。明るい子、かな」


 その言葉を聞いた瞬間、私は今すぐ「お母さん、やったよー!」と叫びに行きたい衝動に駆られた。


 待て、落ち着こう。

 いくらクラスメイトからうるさいと罵倒されてきた人間だとしても、秋津くんの言う明るい子の像とはまた違うかもしれない。