そういうわけで焦った私は、ある作戦を実行することにした。

 彼に恋バナを持ちかけて、私を女として意識してもらおう、というものである。


 これだけ日常的に長時間の通話をしていて恋仲に進展しないのは、確実に女として意識されていない証拠だ。


 恋愛相談に乗っているうちにその人のことを好きになってしまった、というのはよく聞く話だから、きっと効果があるだろう。



「それでね、このシーンのヒーローがもうかっこよくて。ときめきで鼻血ブーだよ」

「ふっ……ごめん。ちょっと何を言っているのか、よくわからない」


 とりあえず第1段階として、好きな少女漫画の話をしてみたのだけれど、不発に終わった。


 秋津くんが笑ってくれたのは、不幸中の幸いである。