私たちのこの不思議な関係が始まったのは、2か月ほど前のことだ。


 通話の相手である秋津登一(あきつといち)くんとは、大学のグループワークで一緒になった。


 初めのうちは、グループワークを進めるのに必要である、事務的な話をするために電話を繋いでいたのだが、次第に雑談も交えるようになっていった。

 そして、課題を終えた今でもなぜか、夜毎に電話を繋ぐという関係が続いている。


 彼も私も、今年から実家を離れて1人暮らしを始めたせいで、淋しかったのかもしれない。


 グループワークの終了とともにこの関係が終わらなかったことは、私にとって好都合だった。

 これは彼にアタックする絶好の機会にほかならない。