短編『ラブミー、秋津くん』



「あの曲、ずるいよね。歌詞とかミュージックビデオとかは辛いのに、ピアノの音やアコースティックギターの音が優しくてさ。聴いていると、胸が締め付けられる」


「そう? 俺は心地よくてしっくりくるなーと思って聴いてるけど」


「そりゃそうだよ。聴いていて秋津くんっぽいなって思ったもん」


 どちらからともなく、目を見合せながら笑う。


「それはそうと、この状態でずっとこのままなの、格好がつかなくない?」


 私の顎にずっと手を添えたままの秋津くんが、首を傾げた。


 そして一旦視線を外したので、どうするのかなと思いそのまま見守っていると、顔が近づいてくる。


 そっと、目元に口づけられた。