そして、秋津くんは一度視線を足元に落としてから、再び私の目を見つめた。
真剣な顔だ。
「常盤さんのことが好き」
その甘美な響きの余韻に浸っていると、腰に手が回され、ぐいっと秋津くんの方へ引き寄せられた。
それから彼は私の顎に手を添え、持ち上げて自分の方へ向かせる。
「わっ」
「常盤さんが言っていた漫画、読んでみた。よくわからないけど、こういうのが好きなんでしょ?」
秋津くんは、愉しそうにニヤリと笑っている。
「そっ、それはそうなんだけどっ……! それは2次元の話でっ……! あ! 私も秋津くんが言っていた好きな曲、聴いたよ!」
秋津くんの行動に動転していたが、なんとか逃げるように別の話題を振った。
「あれ、聴くと胸がぎゅっとなって苦しくて、1回しか聴けなかったけど」
私がそう付け加えると、秋津くんは横を向いて笑った。
「ははっ。常盤さんらしいや」



