「心拍も確認できましたね。」

「よかった。特に異常はなさそうですか?」

「お母さんは事故で怪我をしていたんですもんね。
今の所は心拍の確認しかまだできない状態だけど、念の為無理をしないでゆっくりと過ごしてね。赤ちゃんを守ってあげて!」

「はい。」

退院をしてからしばらくは、錬も忙しいということもあって、実家に帰ってきていた。
でも、ちゃんと産婦人科に行かないとと思って
産む場所も決めないといけないし
錬とも話したくて
マンションの近くにある産婦人科にきてみた。

赤ちゃんはちゃんと育ってる。
母子手帳も貰えて一安心。

「ただいま。」

「お帰り錬。」

「彩奈会いたかった。」

「私も。」

「病院どうだった?」

「順調だったよ。心拍も確認できたし、母子手帳も貰ってきたんだ!あと、これはエコー写真。」

「まだ小さいな。なんか不思議だな。」

カシャ

「何してるの?」

「携帯のホーム画面にしようと思って。」

「ねぇ錬。事務所はどうだった?」

「う・・ん。
今すぐには結婚とか妊娠の発表はできないって。スケジュールと出演契約のこともあって、発表ができるのは最短で半年後だって。
本当にごめん。」

「半年後。12月ってこと?予定日の1ヶ月前・・・」

「俺は、彩奈もお腹の子も守りたい。でも仕事も大切で、沢山の人が関わってるから迷惑かけられなくて・・・」

「そうだよね。わかった。」

「彩奈?」

「私、疲れたから寝るね。おやすみ。」

「おやすみ。」


わかってた。
わかってたけど、いざ言われると苦しくなる。

普通の人とは違う世界にいる人を好きになって
ただでさえ自由に動けないのに
結婚とか赤ちゃんとか難しいよね。

わかってたのに
涙が出てくる。
こんな弱いママでごめんね。