死んでしまった彼との話

「…運命…とかかなぁ…?はは」

その言葉はあまりにも残酷だった。
もう死んでしまって、会うことができない相手に、”運命”だなんて。

「もう…生きている間は水無月先輩には会えないのに」
「そうですよね。ごめんなさい。それくらいしか思い浮かばなくて」

気づいたら、瞳が痛くなっていた。

「私………」

ー水無月先輩の事が好きなのかもしれない
そう、言葉にはできなかった。

ただ、出会ったはじめから、私も運命を感じていた。かっこよくて、うさちゃんみたいで、優しい話し方をする彼に、心底惚れてしまっていたのだ。

「如何しました?」
「……何でもないです」

私も
「連れて行って、ほしいなぁ…」

その言葉は、彼にはまだ、届かなかった。