死んでしまった彼との話

文化祭が終わってからは、あっという間に時間が過ぎて、気づけば7月の最後らへんになっていた。

「先輩〜いつ成仏してくれるんですか」
「分かりませんよ」

いつものように繰り返される確認の言葉。
きっと、その確認言葉が途切れたときが、先輩との最後になるだろう、と私は思った。

「ねえ…水無月先輩」
「なんですか?」

ずっと聞きたかったことを聞いてみる

「先輩が命の取引をした場所って…どこですか?」
「えー…」

明らかに嫌そうな顔をする先輩。
それでもめげずに聞いてみる。

「えーじゃないです。どこですか?」
「………こうです…」
「はい?」
「と、特詠高校…です…」

え?高校で?

「もう…ないです…特詠高校…」

ん?

「もう、時間は過ぎています」

は?

時計を見る、21時37分。

カレンダーを見る、7月25日。

カレンダーの年を見る、2021年。

何も変わっていないのに、

「え、だって、最近までありませんでしたっけ特詠、」
「特詠は私が消えたときにはなくなっていました」

なんでだろう。特詠に行ったことがあるような…そんな記憶が頭を行き来する。

「先輩が消えた年はいつですか?」

「私が”消える”年は「え?」

「2021年です」