死んでしまった彼との話

「わ、四月一日さん……良かったのですか?さっきの須藤くん…という人…」
「ぜーんぜん!水無月先輩より大事なお友達はいませんから!」
「は、はぁ…」

たくさんまわって遊んで、すっかり日が暮れた。
たくさん笑われたり、噂話にもされたようだが、これで良かった。

「楽しかったなぁ…」

「楽しかったです…、文化祭…こんなに楽しいのはじめてでした…」

先輩が満面の笑みをみせたあと、私の中の何かが切れて、先輩をそっと抱きしめてしまった。


ーーひゅーー
ーーパーーーン!!

同時に、花火が夜空を照らした。

「わ、四月一日さん…?!」

水無月先輩が顔を赤らめて私に問いかける。

「ど、どどどうしたのですか?!」
「先輩…可愛くって…へへ」
「…もう……」

これが何かの物語なら、確実に先輩がヒロインだろう。
……悲劇のヒロイン…なんて、

「私もこんなに楽しい文化祭ははじめてでした!付き合ってくれて、ありがとう!水無月先輩!」
「…!ふふ、いえ、こちらこそ、本当にありがとうございました」

もう、来年は先輩と文化祭をまわれないとしたら、今を満喫するしかない。
来年が、私達にはあるのだろうか?

そんなことは今はどうでも良くて、

「花火…綺麗ですね」
「ですね……。
……四月一日も綺麗…だなんて…笑」
先輩がくすくすと笑う

「な、なにが面白いんですか?!綺麗ですよね?私!」
「そういうところですよ…、ふふふ」

きっと、私は今の時間は1番…世界で1番…後悔のない、幸せな人間だろうと思った。

‧⁺ ⊹˚.⋆

「〜〜きです」

その言葉は、花火によってかき消された。