「黒いバラの花びら……」

フィオナはグッと唇を噛み締め、モミジは思い詰めたような表情を一瞬見せる。黒いバラの花びら事件で、シオンというかけがえのない仲間を、モミジは大切な家族を、失うことになったのだ。

「でも、マーティー・ブラックローズは刑務所で服役しているから彼の犯行ではないでしょ？それとも、彼が檻の中にいながら誰かの犯罪を手引きしたとか？」

エヴァンが考え、レティシアも「面会に来た人が手引きを頼んだ可能性は考えられるわね！」と頷く。しかし、フィオナは彼の犯行とは思えず、考え込む。

フィオナが見たマーティーは、憎しみに苦しむ人たちに救世主のように姿を現し、復讐の方法を教えた。犯罪を彼は芸術だと思い、美しいショーを求めて徹底的にシナリオを作る。

「そんな彼が、檻の中からのシナリオ作りに満足するのかしら？」

フィオナが呟くと、サルビアとフリージアも同じことを考えていたのか、「そうだよな」と頷く。