Tear Flowers〜Not the End〜

モミジは笑って言うものの、部屋の温度が下がっていくのをフィオナは感じた。アカツキ家は代々警察官の家系で、そこに生まれたからには優秀な警察官にならなければいけない。その家から追い出されるということはーーー。

フィオナが最後まで考える前に、モミジの前にコトリと何かが置かれた。温かい紅茶と生チョコだ。

「これ、よかったら飲んで。おいしいよ」とレイモンド。

「この生チョコ、私が作ったの。お近づきの印にどうぞ！」とレティシア。

どこか切なげな顔をしていたモミジは、二人のおかげで一瞬で笑顔になり、「ありがとうございます！」と言って紅茶を口をつける。そして、生チョコを食べて「おいしい〜！」とはしゃいでいた。

「シオンさんに似てるけど、真逆のタイプっぽいね」

エヴァンがフィオナに言い、フィオナも「可愛らしい人だと思うわ」と返す。シオンはみんなのリーダーで、冷静でクールな人だったが、モミジは無邪気で話しかけやすい雰囲気を纏った人である。