「えっ、文字でも感情を読み取れるんですか?」

エヴァンが驚くと、「姉さんの書いた記録だけ、姉さん感情がわかったんです」と嬉しそうにモミジは返す。その瞳には涙が滲んでおり、フィオナの胸を締め付けた。

しんみりした空気はしばらくあったものの、それぞれ注文した料理が運ばれてくると、フリージアが「おいしそうだな」と言い、お祝いのムードになっていった。

「フィオナ、このサラダおいしいよ!あとこっちのパスタも!」

エヴァンがフィオナのぶんを皿に盛り付け、満面の笑顔を浮かべる。今日もその笑顔が見れていることにフィオナはホッとし、自然と微笑んでいた。

「ありがとう」

エヴァンに触れたくなり、フィオナはエヴァンの頬に触れる。そしてそのまま唇を重ねた。

モミジが顔を真っ赤にし、サルビアが驚き、レイモンドが微笑み、フリージアが恥ずかしげにそっぽを向き、レティシアが「フィオナ、大胆じゃない!」と目を輝かせる。

「……愛してるわ」

フィオナがエヴァンにしか聞こえない声量で耳元で発すると、エヴァンの顔がさらに赤くなっていく。そして、小さな声で「僕も」と返ってきた。