フリージアがそう言い放つと、ナーシサスの顔から笑みが崩れる。明らかに動揺していた。その様子を見て、モミジがフィオナをジッと見つめる。フィオナが頷くとゆっくりと口を開いた。

「あなたはいつも怒っていた。この世界でたった一人の大切な妹を救えなかった警察にも、妹の未来を奪ったあの二人にも、エリカさんを守れなかった自分自身にも……」

ナーシサスは俯き、体を震わせる。レイモンド、そしてレティシアが次に口を開いた。

「あなたの中で一番大切なのは、エリカさんだけでした。あなたからは、エリカさんに対する強い想いが伝わってきた」とレティシア。

「逆にあなたが一番傷付いたのは、エリカさんを助けることができなかったことですね?あのメッセージに気付いて、助けに行ったけど間に合わなかった」とレイモンド。

エリカが死ぬ前に友人やナーシサスに送った動画の中で、彼女はハンドサインを送っていた。これは、「私には命の危険が迫っています。助けてください」という意味を持つハンドサインなのだ。