Tear Flowers〜Not the End〜

「おまじない？」

レティシアが訊ねると、ナーシサスは「意味はわからないんですけど……」と言いながら手を動かす。親指と人差し指、小指を立てて残りの指は折り曲げたジェスチャーだ。

「俺の前で、よくこのジェスチャーをしてたんですよ。これをすると元気になるって言って……」

泣き出しそうな顔でナーシサスは笑う。レティシアが「お母様のことを憎んでいますか？」と訊ねるとすぐに「当然です！」と返ってくる。彼の顔は激しい怒りで歪み、まるで悪魔のように見える。

「あの二人が死んだって聞いた時、すっごく嬉しかったなぁ……。エリカの幸せを奪い続けた連中が、あの大犯罪者マーティー・ブラックローズによって殺された。真紅に染まった床に散らばった黒いバラの花びら、綺麗だっただろうなぁ……」

狂気的な笑みをナーシサスは浮かべる。フィオナはふと、ナーシサスの言葉に疑問を感じた。

「サルビアさん、確認したいのですが……」

フィオナが感じた疑問を伝えると、「確かにおかしいね」とサルビアの顔が険しくなる。