Tear Flowers〜Not the End〜

その後も、レティシアは二人にエリカの家族のこと、学校での様子、二人以外に親しかった友人について質問したが、二人はエリカの両親を一度しか見たことがなく、兄がいたことも知らなかった。学校では優秀な成績の優等生で、大学進学を勧められたが断ったらしい。二人以外とは、あまり話したりしなかったようだ。

「貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」

しばらく話した後、レティシアがそう言ってカメラの電源を切ろうとする。その時、「あっ、思い出した!」と友達の一人がスマホを見せる。そこには、顔などにアザができたエリカが映っていた。

「エリカが事故で亡くなる前、私たちに送ってきた動画です!」

友達が再生すると、エリカが「久しぶり〜!連絡できてなくてごめんね〜」と明るく話し始める。そして、エリカは微かに震える手を映した。片手の手のひらを向け、親指を手の中に押し込む。残りの四本の指を親指の上に折り畳む。それを何度も話しながら繰り返していた。