「能力をコントロールできるのは羨ましいなと思って……。コントロールできるのはシオンさんと同じだわ」

フィオナの能力は自由に使えるわけではない。勝手に頭の中に映像が入ってくることも多い。能力をコントロールできないため、疲れることもあるのだ。能力をコントロールできるのは、特殊捜査チームのメンバーの中でシオンとフリージアだけだったのだ。

「うん、羨ましいね。でも僕は今幸せだよ?こうやってフィオナが甘えてくれるから」

エヴァンが強く抱き締めて頭にキスを落としてくる。フィオナが「エヴァン、キスはダメよ」と顔を真っ赤にしていると、「お待たせしました」とモミジが戻ってくる。慌てて二人は離れた。

「サルビアさんにお伝えしました。二人の子どもについて調べてみると言っていました」

「ありがとう。じゃあ、中に入ろうか」

エヴァンがお礼を言い、フィオナの手を引いて事件の起きた家の中へと入っていく。家の中はほとんど何も家具がない状態で、まるで引っ越した後のようだ。