「フィオナ?」

「フィオナさん?」

二人に見つめられ、フィオナはハッと我にかえる。頭の中の生々しい映像は消えたものの、ドクドクと心臓が嫌な鼓動を奏でていた。

「フィオナ、大丈夫?顔色があまりよくないし、少し休んだ方が……」

エヴァンがそっとフィオナの体を支える。フィオナは「大丈夫よ」と微笑んだ後、スマホでサルビアに連絡を取ろうとする。しかし、そのスマホはモミジによって奪われた。

「フィオナさんは休んでいてください。映像が見えてしまって、それが影響してるんですよね?」

ジッとモミジに見つめられ、フィオナは息をのむ。彼女は自分とは違い、自分の意思で能力をコントロールし、使えるのだと驚いたからだ。

「連絡、私がしときますね」

ニコリと笑い、モミジは二人から離れて電話を始める。その様子を見ながら、フィオナはエヴァンに体を預ける。エヴァンはフィオナを優しく抱き締め、「どうしたの?」と嬉しそうに訊ねた。付き合っているとはいえ、フィオナはあまりエヴァンにあまり甘えない。特に、誰が見ているかわからない外では尚更だ。