「スコットさんのことを恨んでいる人は大勢いるんですか?」

フィオナが訊ねると、「そりゃあそうさ!」とおじいさんは難しい顔をして頷く。

「ここの夫婦は最悪だ。レストランを開いているのに客に対しての態度は最悪で、お金があればすぐにギャンブルや酒に使う。そして子どもをお金を稼ぐ道具としか考えていない最低な人間たちだ!」

おじいさんはそう言い、怒りながら去っていく。その後ろ姿を見ながら、モミジが口を開いた。

「あのおじいさん、すごく怒っていました。いつ憎しみに変わってもおかしくない怒りです。でも、子どものことを口にした際、心の中に広がっていたのは悲しみでした」

「殺害された夫婦に子どもがいたってこと?」とエヴァンが呟き、フィオナはスマホを取り出す。

「サルビアさんたちに伝えます!」

そう言った刹那、フィオナの頭の中に映像が浮かんだ。この家の庭で誰かが倒れている。艶がなく、くすんだブラウンのショートカットのボロボロの服を着た女性が血だらけになって倒れていた。