4月中旬、学校の雰囲気にも馴れてきた頃、友達の日高可鈴ちゃんと帰宅する。



「メグは部活どうする?」



可鈴ちゃんはいつの間にか『メグ』と呼んでる、まぁー中学からこの呼び名で来てるから何ら違和感はない。



「んー決めかねてるんだよね」



「何部に入るの?」



「・・中学でバスケやってたから・・だけど」



「そうだねここ城川高校はバスケ強いもんね」



そうなのだ、私が城川を選んだ理由にはバスケ部が毎年県大会上位に食い込む強豪高であるのが、大半を占めていた。



「可鈴ちゃんは部活入るの?」



「うん!もう決めてるの!既に入部届けは出したんだ!明日から部活行くから一緒に帰れなくなるんだ」



「えーっ!そうなの!っで!何部?」



「放送部!」



「放送部!?」



「本当は映研部とか有れば入りたかったんだけど、城川はないので放送部に入るの」



意外だなぁ可鈴ちゃんは活発だから体育系かと思った



「なに?意外だった?」



可鈴ちゃんがニコニコしながら答える。



「うん!いがーい!」



「中学は陸上部だったんだけどね」



にこやかに答えた。



「・・でメグはバスケ以外で何と迷ってるの?」



「うーん、テニスもしてみたいんだよね」



「おー流石!行動派のメグだね!」



根拠もない事をよく言いますね。



「でもやっぱりバスケ好きでここ城川高校に来たわけだし、正直迷ってるんだ」



「ウンウン良いよ~健気なJKはモテますよ!」



なぜか可鈴ちゃんはオヤジ口調で私を舐め回す様にみる



と言うことで、二人でテニス部がいるテニスコートに覗きに来ていた。



既にテニス部を調べていた可鈴ちゃんは、詳しく語る。



「メグは知ってると思うけど、バスケ部は男子部女子部両方共に強豪県の神奈川県上位に居て他校に一目置かれている、今年こそ全国を目指し部員も増やし力を付けている、城川高校の中では花形の部だよね、一方、今までの城川硬式テニス部は他の部活に比べると成績は余り良くなく、毎年大会では団体戦、個人戦共に県大会まで行けないのが通説の部員男女合わせて20名。まぁその為にテニス部は部長が1人でキャンプが男子部と女子部に1人づついる感じだね。」



「だが!去年入った男子テニスの瀬戸昴先輩と女子テニス成瀬司先輩が、なんと一年生でありながら新人個人戦の県大会ベスト4まで上がり、城川テニス部史上最高の盛り上がりをあげているのだ!」



「おー可鈴ちゃん詳しいー!」



ドヤ顔で説明している可鈴ちゃんを横目に桜井先輩を探していると



「ちなみにメグの王子さまは高校からテニスを始めたらしく夏の大会では二回戦で大敗だったみたい」



おっ王子さまって・・そんな事言われるとまた顔が熱くなるよ



「なので今ならもれなくテニス部では男女一緒に練習をしていて、王子さま獲得率はバスケ部レギュラー入より高いと思われるます。」



ニヤニヤしながら可鈴ちゃんは私の頬っぺたをツンツンしながら話を締めくくった。



可鈴ちゃんの説明を聞きながらテニスコートを見ているとテニス部の人達は素振りを終え打ち合いが始まる。何やら新入生に先輩達の試合を披露するらしい。

可鈴ちゃんに促されながら少し近くまで近付いて観ることにした。



何やら1セットのトーナメント制で男女混合らしい。



3コートを使い始まった試合は素人の私でもわかるぐらい試合は流れて行く。



桜井先輩は、3年生らしい男子、女子を相手にスムーズに勝ち進む。隣のコートでは可鈴ちゃん情報のエースらしい瀬戸先輩声援を受けながら3年生を破った。



そして2コートに埋まった4人。選手は声援で知る限り男子の桜井先輩と瀬戸先輩、女子の成瀬先輩と神山先輩だ。

最後試合は男女別の試合らしい。先に成瀬先輩と神山先輩が試合をした。



可鈴ちゃん情報では、神山先輩は3年生で不運の女神と言われている見たい。

毎年怪我で泣かされ大事な大一番で怪我を追ってしまうらしい。

しかし、流石3年の貫禄はあり2年の成瀬先輩をストレートで破る。



そして桜井先輩と瀬戸先輩の試合が始まった。

するとどうでしょう!互角の試合じゃないの!



「可鈴ちゃん桜井先輩はテニス経験は浅いんだよね?」



「うん!私の知る限り桜井先輩はまだ1年位の経験だと思う。」



それとは裏腹に試合は接戦だ、しかし最後は瀬戸先輩のサービスエースで試合は負けてしまった。



でも私は思う桜井先輩のフオームは何時見ても綺麗だ。



伸びやかでボールを打つ瞬間の横顔は堪らなく素敵だ!





何だろうこの胸の鼓動。

しっかりとして、でも衝き上げる強さ・・・




ドクンッ。ドクンッ。





「やっぱりテニスやる!」



「おっ!メグやる気になったね!」



「よし!入部届けを出そう」



何故か可鈴の一声が高らかに響いた。