城川高校内 テニスコート

あれから1時間後に私達ヒヨッ子一団はいつもの黄色いビブスを着て一年生と対峙している。

「では一年生同士のゲームを行います。いままでの力を出し切り闘って下さい。」

城川テニス部全員が見守る中神山部長が宣言する。座って見る人やフェンスに寄りかかる人一様に一息の休憩気分で先輩達の目線。

審判は三年生が仕切ってくれているが、対峙する経験者の1年生には三枝ミチル先輩が就いている。そんな先輩は明らかに私達にいい感情は無く、こちらを蔑む憐れみの笑みで見つめている

「双方準備出来たら始めるぞ!」

増田キャプテンが審判台から声をかける。

「こちらは何時でも行けます。」



あちらの準備は万全らしい。



「皆こっちに集合!」

「円陣組むぞ!」



桜井先輩が私達を呼ぶ

先に近くに来た私の手を掴み肩を組み、8人がワラワラと円陣を組んだ

(ちっ近い!桜井先輩!顔が近すぎます!)

偶然にも円陣で桜井先輩の隣にいて、しかも肩を抱かれてる!私の心臓は高速回転に鳴りまくる。

(ワー!キャー!私の中のワタシが騒ぎ巻くっちゃている)

今にも聞かれてしまうんじゃないかとドキドキとしている、そんな私の気も微塵も気づなかいまま、8人の顔をゆっくりと見渡して桜井先輩が顔を突き出す。



「それじゃー今迄の練習成果をみせつけてやろうぜ!」

 「ん?ん?ん?」



いつものニヤリとした笑顔で皆を見渡す。



「おいおい!幡野何下向いてんの?自信持とうよ!」



桜井先輩!ち、違いますよ先輩が近いから照れてるんですってばっっ!

つい見てしまった王子様の横顔は朝日に反射する豊潤な水しぶきの様に眩しい!あーん・・・



「おい!幡野!」



遠藤が睨む!なっなによ!そんな顔でおこんなくてもいいじゃん



「遠藤そんな怒るな、な?幡野は試合が出来るからワクワクしてるんだよ」



「違うと思うんですが・・・」



遠藤が小さな声で返すが桜井先輩には聞こえて無いらしい。



「まぁ皆自信を持っていいよ」



「僕が、自分で言うのも何だけど昨日のゲーム見てただろ?」



ヒヨッ子一団は皆こくこくと頷く。



「あの球を君達はリターンしたんだよ。」



「少なくとも練習中で君達は一球以上は返している、特に遠藤、幡野は今の腕ならあっちの相手を負かす力はある!まぁ皆行けると思うよ。うん。」



「自信を持って!」



桜井先輩が皆を見渡す。確かに遠藤君と練習ゲームをしても何も臆する事はなかった。男子の球にも負けなかった。



私達は各々見ながら頷く。



「それじゃ最後に秘策を2つ・・・」



そう言って先輩はいつものニヤリ顔で頭を突き出し、皆を見据えた。そして私の肩に暖かいての温もりが伝わってくる



・・・・くーーー!

・・幸せ・・・・