「私はあなたの奴隷じゃない!あなたに貢ぐことが幸せじゃない。私にとっての幸せは、翔くんと一緒にいることなの。これから結婚式の準備を進めていきたいんだから、邪魔しないで!」

結衣がそう強い口調で言うと、壱成は結衣が言い返すとは思っていなかったようでその場にへたり込む。放心状態になっているその隙に、スタッフたちが壱成を抱えて神社から放り出していた。

「……翔くん、ごめんなさい」

結衣が謝ると、「うん。本当にびっくりしたし心配したから」と翔に乱暴に頭を撫でられる。しかし、その後に「あれであいつはもう来ないだろ。結衣ちゃんに被害が出る前でよかったよ」と言ったので、ホッとする。しかし、翔は意地悪な顔をして結衣の頬を包んだ。

「安心しちゃダメだよ?僕は微妙に怒ってるからね?家に帰ったら覚えておいて」

「は、はい!」

顔を真っ赤にしながら結衣が返事をすると、翔は艶やかな笑みを浮かべて歩き出す。家に帰ったら即、結衣は食べられてしまうのだろう。

(まあ、愛されてる証だしいっか!)

結衣は微笑み、翔の腕に自身の腕を絡ませた。