王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-


 薄桃色の花が散りばめられたワンピースに、レース飾りが着いたつば広の帽子。くるっとひと回りするとワンピースの裾がふわっと広がる。

 華奢なシルディーヌの体を柔らかく見せる、子爵令嬢らしい装いだ。

 侍女寮の玄関でペペロネたちと合流し、待ち合わせ場所に向かう。ふたりともデートは初体験のようで、緊張気味。口数も少なくそわそわしているのが、とても可愛らしく映る。

 うきうきワクワク余裕たっぷりなのは、シルディーヌだけだ。

 ここは恋愛の先輩らしくリードすべきだと張り切り、二人を先導していくと前方にアルフレッドの姿が見えた。

 今日は濃緑のフロックコートを着ている。フリードは濃紫、リックは濃紺、誰もが貴公子然としていて、リックも荒くれ者と言われる騎士団員には見えない。

 とくにアルフレッドはいつもの団服とは違った魅力を放っていて、シルディーヌも胸がときめいてしまう。

 今日のアルフレッドは素敵だ。

「ね、シルディーヌ。団長さま、怒ってらっしゃらない? 大丈夫かしら?」

 キャンディがこわごわと言い、ペペロネが不安そうにつぶやく。