薄桃色の花が散りばめられたワンピースに、レース飾りが着いたつば広の帽子。くるっとひと回りするとワンピースの裾がふわっと広がる。
華奢なシルディーヌの体を柔らかく見せる、子爵令嬢らしい装いだ。
侍女寮の玄関でペペロネたちと合流し、待ち合わせ場所に向かう。ふたりともデートは初体験のようで、緊張気味。口数も少なくそわそわしているのが、とても可愛らしく映る。
うきうきワクワク余裕たっぷりなのは、シルディーヌだけだ。
ここは恋愛の先輩らしくリードすべきだと張り切り、二人を先導していくと前方にアルフレッドの姿が見えた。
今日は濃緑のフロックコートを着ている。フリードは濃紫、リックは濃紺、誰もが貴公子然としていて、リックも荒くれ者と言われる騎士団員には見えない。
とくにアルフレッドはいつもの団服とは違った魅力を放っていて、シルディーヌも胸がときめいてしまう。
今日のアルフレッドは素敵だ。
「ね、シルディーヌ。団長さま、怒ってらっしゃらない? 大丈夫かしら?」
キャンディがこわごわと言い、ペペロネが不安そうにつぶやく。

