王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-


「それでね、ペペロネとキャンディのために、フリードさんとリックさんを誘いたいの。いいでしょう?」

 祈るように手を組んで、翡翠色の瞳をきらめかせ、じっと見つめるシルディーヌ。

 アルフレッドの瞳から優しさが抜けたように見えた。

 もしかして失敗したかも……と、しょんぼりしかけるシルディーヌに、アルフレッドは予想外の言葉を吐いた。

「………………いいだろう。だがお前はリックとの接点がないだろう。仕方がないから、俺が同行をうながしてやる。フリードもだ。お前が誘うな」

「ええ、分かったわ」

「話は終わりだな。仕事しろ」

 少し苦々し気な口調に思えたが、とりあえずシルディーヌのミッションは成功である。

 浮き立つ気持ちで仕事に向かう。そして食堂の中を目にし、聞いていた状態との違いにおおさな悲鳴を上げたのだった。

「アルフのウソつきーっ」


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 週末の朝、早起きしてペペロネたちと一緒にお弁当を作り終わったシルディーヌは、姿見に向かっていた。

「この服でいいわよね」