王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-


「ええ、そうよ。だってずっとアルフと会えなかくて、とっても寂しかったもの。それに私、二度も、すごーく怖い目に遭ったわ。だから、アルフと一緒に綺麗な景色を眺めて癒されたいの」

 陽を受けてキラキラ光る水面。水の中を泳ぐ魚たちとかわいい水鳥。草原を拭き渡る涼しい風。ニコニコするアルフレッド……は、無理かもしれないが。

 それらを見たり感じたりしながら、好きな人と一緒に過ごすと想像しただけで、胸がわくわくと躍ってしまう。

 絶対有意義で素敵な時間になるに違いない。

「アルフも任務で疲れたでしょう? 自然の中でのんびり過ごしたら、気持ちが癒されると思うわ」

「む……今週末でいいなら、付き合ってやる」

「わあ、ありがとう! うれしいわ! アルフ!」

 キラキラした笑顔を向けると、アルフレッドの空色の瞳が少し優しくなったように見えた。

 この目は一緒に買い物に行ったときなど、今までにも何度か見た記憶がある。ひょっとしたら、この微妙に変化した状態がデレデレした顔なのかもしれない。

 ここまでのミッションはクリアだけれど、まだ最後の難関が残っている。はたしてアルフレッドは了承してくれるのか。