王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-


「話はそれで終いか」と尋ねるアルフレッドに、本題を言うべく胸の前で手を組む。

 彼女たちの願いを叶えるため、シルディーヌはおおいに甘えなければいけないのだ。

「あのね、もうひとつあるの。私からのお願いなのだけど……アルフはピンクルの湖って知ってる?」

 上目遣いにしてじっと見つめると、アルフレッドが少しだけ、たじろいだ気がした。

「ああ知ってるぞ。ボート遊びができる巨大な水たまりだろう。わきに草の生えた原っぱなんかもある。そこがどうした」

 シルディーヌがイメージしている『メロメロ』とは程遠い表情をしているけれど、声が和らいだ気がしなくもない。

「そこに、みんなでピクニックに行きたいの」

「ふん、女どもで出かけるのか。つまらん景色見て弁当を食うだけだろう。どこが楽しいんだか分からんが、休みならくれてやる。いつだ」

「違うわ。もちろん、ペペロネたちとのピクニックなのだけど、私はアルフと一緒に行きたいの。つまり……デートなの」

「なに、お前は、俺と、デートをしたいというのか」