しかしアルフレッドにはまったくギャップがないのに、シルディーヌが攻撃を受けてしまうほどにモテるのは、腑に落ちない。
──たしかに、かっこいいけれど。
騎馬に乗った姿は惚れ惚れするくらいに凛々しかったし、馬の蹄に蹴られそうなところをサクッと助けてくれた逞しさは、乙女のハートが燃えるほどにときめいた。
人気の秘密は、ギャップだけじゃないってことかしら?
「だからね、お礼がしたいと言うのだけど、恋人がいたら、迷惑になるといけないでしょう?」
説明すると、アルフレッドは乗り出していた身をソファの背もたれに沈めて、少し考えた後口を開いた。
「奴に女がいると聞いたことはないな。好きな女がいる噂もない。だが、その類の話はフリードのほうが得意だ。詳しいことは奴に確かめろ」
たしかに、フリードのほうが恋愛面では勝っている。貴族だから女性慣れもしていると思う。だからこそ、ペペロネが苦戦しているのだ。
でも団員のことを把握しているアルフレッドが『いない』というのなら、フリーなのはほぼ確定である。
仲良しの侍女たちの恋人がみんな騎士団員だなんて、かなり素敵なことだ。

