王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-


 しかしアルフレッドにはまったくギャップがないのに、シルディーヌが攻撃を受けてしまうほどにモテるのは、腑に落ちない。

 ──たしかに、かっこいいけれど。

 騎馬に乗った姿は惚れ惚れするくらいに凛々しかったし、馬の蹄に蹴られそうなところをサクッと助けてくれた逞しさは、乙女のハートが燃えるほどにときめいた。

 人気の秘密は、ギャップだけじゃないってことかしら?

「だからね、お礼がしたいと言うのだけど、恋人がいたら、迷惑になるといけないでしょう?」

 説明すると、アルフレッドは乗り出していた身をソファの背もたれに沈めて、少し考えた後口を開いた。

「奴に女がいると聞いたことはないな。好きな女がいる噂もない。だが、その類の話はフリードのほうが得意だ。詳しいことは奴に確かめろ」

 たしかに、フリードのほうが恋愛面では勝っている。貴族だから女性慣れもしていると思う。だからこそ、ペペロネが苦戦しているのだ。

 でも団員のことを把握しているアルフレッドが『いない』というのなら、フリーなのはほぼ確定である。

 仲良しの侍女たちの恋人がみんな騎士団員だなんて、かなり素敵なことだ。