王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-


 シルディーヌの頭の中にあった謎が、アクトラスのおかげでどんどん解けていく。残りの謎は『シルディーヌのために剣を捨てなかったこと』と、ペペロネたちから頼まれたミッションだけだ。

「ところで、こんなとこに突っ立ってどうしたんです?」

「あ、アルフにお願い事があるのだけど」

 ペペロネたちに頼まれたことを、どうやって切り出したらいいのか考えていた、と話すとアクトラスはカラカラと笑った。

「そんなの、難しく考えることないですよ~。シルディーヌさんにお願いされるだけで、団長はメロメロですから。お、そだ、『怖い目に遭ったから、なんとかしてほしい』って甘えれば、イチコロのコロ~リです。絶対ですよ」

 アクトラスはニカーッと歯を見せて、グッと親指を立てる。素晴らしく良い顔である。

 そんなに簡単にいくかしらと思いながらも、お墨付きをえて、シルディーヌは団長部屋に向かった。

 部屋の前で大きく息をついてからノックをすると、中から「入れ」と聞こえてきた。そっと扉を開けるとアルフレッドは棚に本を仕舞っているところだった。

「お前がノックするのは珍しいな」