アクトラスは「愛だなぁ」と、これまたワケ知り顔でうなずく。
──私が危険な目に遭わないように……。
「でも結局ガスパルに捕まってしまったわ」
「あれは早急に解決するために、わざわざ隙を作っておびき寄せたんですよ。作戦を開始する前に、王太子殿下も『私が指揮を取ろう』と乗り気になられて。いや、団長はかなり機嫌が悪かったんですけど……。従者にタペストリーを持って来させて、仕掛けを作ったのは王太子殿下ですよ」
おかげですぐ部屋に踏み込んで捕獲するところを、おめおめとシルディーヌを捕らえられてしまったと言い、「おかげであの殺気で……」と遠い目をした。
「そうだったの……」
だからアルフレッドは、あの口の利き方になってしまったのだ。
それにおかしいと思っていたのだ。いくらアルフレッドが戻って気が緩んだとはいえ、簡単に侵入を許すなんて、守護の要としてありえないことだと。
あのときアクトラスの団員たちは食堂で飲み食いをしてくつろいだふりをし、ポートマスの隊は鍛錬場や仮眠室に潜んでいたという。
