王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-


「お詫びなんて、いらないわ。でも……」

「ええ、そうね……それなら……」

 ふたりは顔を見合わせて、クスクスッと笑いあう。

「じゃあ、私たち、シルディーヌにお願いしたいことあるの。訊いてくれるかしら?」

 にこーっと笑うペペロネと、少しモジモジしているキャンディを交互に見つめ、「いいわよ?」と返事をすれば、シルディーヌにしかできない事を頼まれたのだった。


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 ふたりと分かれて黒龍殿に戻ると、お昼近くになっていた。

「どうしようかしら?」

 シルディーヌはホールの真ん中ほどに立ち、う~んと頭を捻った。

 さきほど二人に頼まれたこと。どうやって実現したらいいのか悩んでいるのだ。ここまで歩いてくる道すがらにも考えていたのだけど、ちっともいい案が浮かばない。

 困った時に相談できる二人。フリードはともかくとして、アクトラスは出かけてしまっているだろうか。

 遠征の任務を終えたところだから、今日は休暇を取っているかもしれない。

 この際新たな相談役候補となりそうな、お気楽騎士のポートマスでもいいのだけれど。

 誰か食堂にいるかしら? と考えて、ぎょっと思い出した。