あのとき王太子殿下は『私に任してくれ』といっていたのだ。当のアルフレッドはカメリアたちの尋問で忙しくて、それどころじゃなかったと思う。
それにアルフレッドならば、自分が処罰をしたいと願い出て、『もっと怖い目にあわせてやる』といって悪魔のように笑い、馬をけしかけて脅しそうなのだ。
──ううん、もっと恐ろしいことをするかもしれないわ……。
いろんな想像をしそうになって、ハッと現実に戻る。そんなことよりも、シルディーヌはふたりに謝罪をすべきなのだ。
自分に落ち度はないとはいえヘンリエッタの反感を買ったのは、あのときの話し方がまずかったかもしれないのだ。
「ペペロネも、キャンディも、すごく優しいわ。ありがとう。私が巻き込んじゃったみたいなのに、責めないでいてくれて……」
「なにをいっているの。そんなこと、当たり前じゃないの!」
「私たちシルディーヌが大好きなんだもの、気にしなくてもいいのよ」
そんなことを言ってくれるふたりは、天使のように思える。シルディーヌもふたりのことが大好きだと伝えると、三人の友情がよりいっそう深まった気がした。
「ふたりに、お礼とお詫びをしたいわ」

