シルディーヌとしては見せてあげたいけれど、国防の要の部屋には、うかつに人をいれてはいけない。カメリアが中を覗くだけならばいいかもしれない。けれど……。
「それなら、副団長のフリードさんに了承を得ないといけないわ。今はフリードさんが全権を得ているの」
「だ、ダメですわ!」
「どうしてなの? そのほうが、堂々と見られるわ?」
シルディーヌが首をかしげると、カメリアの背後にある部屋の扉が開いた。そこは、現在フリードが使用している部屋である。
「話し声が聞こえてきましたが、どうしました?」
「フリードさん。うるさくしてごめんなさい」
「ハッ……シルディーヌさん、そのお方は? あなたは、何故この宮殿にいるのですか!」
厳しい問いかけの声に、カメリアの顔色がサァっと青ざめた。侵入者を許すまじとする、フリードの鋭い視線が彼女に刺ささっている。
「フリードさん、カメリアは間違えてここにきてしまったの。私と同じよ。すぐに出て行くわ。けれどその前にアルフの部屋を」

