王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-


 シルディーヌとしては見せてあげたいけれど、国防の要の部屋には、うかつに人をいれてはいけない。カメリアが中を覗くだけならばいいかもしれない。けれど……。

「それなら、副団長のフリードさんに了承を得ないといけないわ。今はフリードさんが全権を得ているの」

「だ、ダメですわ!」

「どうしてなの? そのほうが、堂々と見られるわ?」

 シルディーヌが首をかしげると、カメリアの背後にある部屋の扉が開いた。そこは、現在フリードが使用している部屋である。

「話し声が聞こえてきましたが、どうしました?」

「フリードさん。うるさくしてごめんなさい」

「ハッ……シルディーヌさん、そのお方は? あなたは、何故この宮殿にいるのですか!」

 厳しい問いかけの声に、カメリアの顔色がサァっと青ざめた。侵入者を許すまじとする、フリードの鋭い視線が彼女に刺ささっている。

「フリードさん、カメリアは間違えてここにきてしまったの。私と同じよ。すぐに出て行くわ。けれどその前にアルフの部屋を」