だって今は、食堂への出入りを禁じられているのだ。フリードの説明があやふやすぎて、やっぱり、どうにも納得がいかない。
守るなら、害虫からも守ってほしいのが乙女心である。
またひとつ、アルフレッドに言うべき文句が増え、心のメモにしっかりと書き止める。
ぷっくり膨れたまま黒龍殿に着いたシルディーヌを見て、ホールにいた団員たちがざわめいた。
「団長もいないのに、なにがあったんだ」
「俺たち、なにも悪いことしてないよな?」
「ああ、今日の食器はしっかり片付けたぞ」
「俺もだ。テーブルも椅子も綺麗にしたんだ。問題は無いはずだ」
「俺なんか、ナイフ投げで害虫を一匹退治したんだぜ」
「おお~、さすがリックだな」
ホールに集まった騎士団員たちが、ヒソヒソと互いの健闘を褒め合っているのもスルーして、ずんずん歩いて団長部屋に向かう。
ばんっと、シルディーヌなりに勢いよく扉を開けても、本人がいないのが哀しい。静まり返った部屋の中、アルフレッドの幻がそこかしこに現れては消える。
「アルフの、バカ」
クスンと鼻を鳴らして、主のいない机をペシンと叩く。

