どうやら、シルディーヌの目論見はお見通しのようである。
「そ、そうよね。でもこれは違うの。えっと……クローバーのリースを作るんだもの」
「ほう? それで、また執務室に飾るつもりか。お前も飽きないな」
「そう……そうよ。私の快適空間づくりには終わりがないの」
アルフレッドが手を離したので、シルディーヌは冠作りを再開する。
「持ち帰ってもすぐに枯れちまうだろう。草の生命力は弱いもんだ」
枯れてもいいのだ。今、役目を果たせればシルディーヌは満足である。
せっせと冠の制作を進めつつ、知恵を絞る。いざ頭に被せる時のために隙を作らねばならない。気を逸らす手立てはないものか……。
──アルフを怯ませる話題をふれば、いけるかもしれないわ!
完成した冠をひざの上に置き、アルフレッドをじっと見つめた。
「そういえば、アルフは私が人質にされても剣を捨てなかったわ。逆に『やってみろ』なんて、すごく怖かったわ……私が傷つけられても平気なの?」
「大事じゃないの?」と唇を尖らせると、アルフレッドは一瞬声を詰まらせたようだった。

